
ひじきとは?黒い海藻に秘められた栄養と歴史を解説
「ひじきは体にいいと聞くけれど、実際どんな海藻で、どんな栄養があるのかよくわからない」という方も多いのではないでしょうか。黒い海藻ひじきの正体や歴史、栄養価、失敗しない選び方を、産地や加工の違いに注目しながらご紹介します。
目次
ひじきとは何か
褐藻類ホンダワラ科の海藻という正体
ひじきは、褐藻(かっそう)類ホンダワラ科ホンダワラ属に分類される海藻です。波の荒い海岸近くの岩場に多く育っていて、北海道南部から広い範囲で見られるほか、中国や朝鮮半島でも収穫されています。夏以降、海水温が上がる時期に成長するため暖かい海で育ちやすく、太平洋側や瀬戸内海のほうが広い範囲で収穫され、日本海側では南部を中心に育っています。
収穫の旬と乾物になる理由
旬は春ごろで、この時期に収穫が行われます。旬を過ぎると葉が硬くなってしまうため、この頃のひじきは主に乾物として流通します。味や香りに強い癖がなく調理しやすいことから、特に煮物料理でよく使われています。
長ひじきと芽ひじきの違い
ひじきには部位によっても種類があります。茎の部分は「長ひじき(茎ひじき)」と呼ばれ、ボリュームと歯ごたえがあるので、炒め物や和え物、煮物にぴったりです。葉の部分は「芽ひじき(姫ひじき・米ひじき)」と呼ばれ、食べ応えは長ひじきに劣りますが、水で戻るのが早く食材と絡みやすいのが特徴です。柔らかい食感を活かして、ひじきご飯やサラダにするのもおすすめです。

三重県産の伊勢ひじき。岩場で育ったひじきを収穫・乾燥させた伝統食材
出典:農林水産省「にっぽん伝統食図鑑」伊勢ひじき(いせひじき) https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/traditional-foods/menu/ise_hiziki.html
ひじきの歴史 江戸時代から続く食文化
江戸時代の文献に残る「鹿尾菜」の記録
ひじきの食文化は、実は古くから根付いています。三重県伊勢志摩地域の「伊勢ひじき」を例にとると、寛永15年(1638年)発行とされる「毛吹草」に、すでに伊勢の名産品として「鹿尾菜(ひじき)」が紹介されていて、江戸時代初期には知られた特産品だったことがわかります。流通網の広がりとともに、寛政年間(1789〜1800年)頃には全国にその名が知れ渡ったとされています。
伝統の「蒸し製法」と現代への継承
伊勢地域では、収穫後に一度乾燥させてから蒸して加熱する「蒸し製法」が受け継がれていて、旨味の流出を防ぎながら、もっちりとした食感を生み出します。地元組合は昭和59年、9月15日を「ひじきの日」に制定し、健康食として伝える取り組みを続けているそうです。
ひじきの栄養と効能 鉄分の誤解と本当の実力
「ひじき=鉄分豊富」は過去の常識
ひじきは健康にいい食材として知られていますが、実は見直すべき点もあります。それは「必ずしも豊富な鉄分を含むわけではない」という点です。かつて鉄分が多いとされていたのは、下処理に使う釜が鉄製で、そこから鉄分が溶け出していたためで、現在主流のステンレス製釜で加工したひじきの鉄分は、以前よりも少なくなっています。
釜の素材と加熱時間で変わる含有量
文部科学省の食品成分データベースによると、ほしひじき(乾)100gあたりの鉄分は、ステンレス釜製造で6.2mgなのに対し、鉄釜製造では58.0mgと、およそ9倍もの差があります。川崎医療福祉学会誌の報告では、加熱時間も鉄分量を左右するとされていて、鉄製の鍋で30分と360分加熱した場合とで、30倍以上の差が生じるそうです。鉄分の摂取が目的であれば、加工条件にも注目して選んでみるとよいでしょう。
生育時期による栄養価の違い
栄養価は下処理の方法だけでなく、乾物かどうかや生育時期によっても変わってきます。旬に近い12月〜1月に収穫されたひじきは、たんぱく質の含有量が増える傾向があるそうです。
豊富なカルシウム・食物繊維・ヨウ素
その一方で、ひじきは低カロリーながら栄養がとても豊富な食材です。必須アミノ酸の比率は白ご飯より高く、乾物は脂質が低めな傾向にあります。特徴的なのはカルシウム、食物繊維、ヨウ素の豊富さで、カルシウムは100gあたり牛乳の約9倍(牛乳110mgに対しひじき1000mg)を含み、海藻類の中でもトップクラスとされています。食物繊維は可食部100gに対して51.8gも含まれていて、アルギン酸にはコレステロールや血圧の低下、抗腫瘍作用への期待も寄せられています。ヨウ素は基礎代謝の促進に関わり、子どもの発育促進にもよいとされています。
出典:文部科学省「日本食品標準成分表(八訂)増補2023年」食品成分データベース https://fooddb.mext.go.jp/details/details.pl?ITEM_NO=9_09050_7
産地ごとの特徴と選び方
選ぶときに見るポイント
ひじきを選ぶときに注目したいポイントは、主に次のとおりです。
・ 味
・ 香りや風味
・ 食感、固さ
・ 見た目、コスト
好みにもよりますが、光沢のある黒色でぴんとしていて、大きさが揃っているものが良品とされています。
産地による違い(宮城・伊勢・長崎・千葉)
産地別の特徴も、それぞれ異なります。宮城県産は味・香り・食感・固さ・見た目のすべてで評価が高いといわれています。伊勢ひじきは長く太く風味がよいと評価されていて、遠浅の海が育む環境が特徴的です。長崎産は海外産より味や風味が強く、やや柔らかめです。千葉県産は戻すと太くなりますが、皮がむけやすいという特徴があります。
海外産ひじきとの違い
日本で流通しているひじきの多くは、韓国産・中国産です。工場加工で見た目は整っていますが、国産に比べると味や風味はやや控えめな印象です。国産は海外より2〜3倍ほど高価になりますが、その分、味と風味の良さをしっかり実感できます。
ひじきのおいしい食べ方と調理のポイント
基本の戻し方
戻す手順は、そんなに難しくありません。さっと洗ったあと水に20〜30分浸すだけでよく、指でつまんで潰れる程度がひとつの目安です。熱湯なら10分程度で戻せますが、茹でるより浸すほうが栄養価の流出を防ぎやすいのでおすすめです。
定番レシピ
ひじきはクセが少なく、和食から洋食、中華まで幅広く活用できます。代表的なのは、大豆や人参とだし汁、醤油、砂糖で煮る煮物で、戻した水気をしっかり切ってから調理するのがポイントです。炊き込みご飯やそぼろ丼など、家庭で気軽に取り入れやすいレシピもたくさんあります。
調理で気をつけたいポイント
仕上げのコツは水気の管理にあります。具材を炒めてからだし汁や調味料を加え、中火で煮詰めると味がなじみ、最後にごま油を加えて軽く炒めると香りもぐっと引き立ちます。
横田屋本店でのお取り扱い商品

記事でご紹介したひじきは、横田屋本店でもお取り扱いがあります。国産の「ひじき」(540円・税込、30g)は、さっと洗ってから30分ほど水に浸すだけで手軽に使える乾物です。
・ 商品ページ:https://shop.yokotayahonten.com/view/item/000000000331
■ここが魅力
①国産ひじきの素材感
②水洗いと水戻しで使える手軽さ
③30gで使い切りやすい分量
④常温保存でストックしやすい仕様
必要な分だけ戻して使えるため、家庭の定番食材として常備しやすいひじきです。
■おいしい召し上がり方
・さっと水で洗い、30分ほど水に浸してからお使いください
・戻した後は、お好みの料理に合わせて
参考文献
・ 農林水産省「にっぽん伝統食図鑑」伊勢ひじき(いせひじき) https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/traditional-foods/menu/ise_hiziki.html
・ 農林水産省「にっぽん伝統食図鑑」塩蔵ワカメ(えんぞうわかめ) https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/traditional-foods/menu/enzou_wakame.html
・ 文部科学省「日本食品標準成分表(八訂)増補2023年」食品成分データベース(藻類/ひじき/ほしひじき/ステンレス釜/乾) https://fooddb.mext.go.jp/details/details.pl?ITEM_NO=9_09050_7
・ 文部科学省「日本食品標準成分表(八訂)増補2023年」食品成分データベース(藻類/ひじき/ほしひじき/鉄釜/乾) https://fooddb.mext.go.jp/details/details.pl?ITEM_NO=9_09053_7




