
昆布の旨味成分を徹底解明!減塩と健康に役立つグルタミン酸の力と活用法


昆布の「旨味」は和食の根幹をなす要素ですが、その成分の正体や、健康にもたらすメリットを深く理解している方は少ないかもしれません。本記事では、昆布の旨味成分の正体を科学的に解明し、その成分が持つ健康効果、そして日々の料理で旨味を最大限に引き出すための実用的な方法を、信頼できる情報源に基づいて解説します。


昆布の旨味成分の正体:グルタミン酸とアスパラギン酸
昆布の豊かな旨味は、主に2つのアミノ酸、すなわちグルタミン酸とアスパラギン酸に由来します。これらは昆布の重要な栄養分であり、私たちの舌の旨味受容体を刺激する「うま味成分物質」です。
昆布の旨味は2つのアミノ酸(グルタミン酸とアスパラギン酸)に由来
昆布に含まれるアミノ酸のうち、グルタミン酸が約20%、アスパラギン酸が約12%を占め、これらが昆布だしの美味しさの核となっています。
旨味の発見者・池田教授が解明した「グルタミン酸」の役割
昆布の旨味の正体は、20世紀初頭に東京帝国大学の池田菊苗教授によって解明されました。池田教授は昆布から「グルタミン酸」を抽出し、その味を第5の味覚「旨味」と命名しました。この発見は、世界初のうま味調味料「グルタミン酸ナトリウム」の誕生につながり、世界の食文化に大きな影響を与えました。
体内で重要な働きを担うグルタミン酸は「準必須アミノ酸」
グルタミン酸は、動植物や微生物、そして私たち人間も含め、ほとんどの生物の体内で生成されるアミノ酸です。グルタミン酸は、体内で生成できる「非必須アミノ酸」に分類されますが、脳神経の伝達物質として脳の活性化に関わるなど、生命維持に重要な役割を担っています。そのため、食品からも積極的に摂取することが推奨される「準必須アミノ酸」の一つとされています [3]。
昆布の旨味を構成するもう一つの成分「アスパラギン酸」
グルタミン酸に加え、昆布の旨味成分にはアスパラギン酸も含まれます。アスパラガスから発見されたアスパラギン酸は、トマトや豆類にも多く、タンパク質を構成するアミノ酸の一つです。疲労回復や美肌効果も期待できるため、食品からの積極的な摂取が推奨されています。
旨味成分の含有量を高める昆布の選び方と部位
昆布の旨味成分の含有量は、種類や部位によって異なります。濃厚で質の高い旨味を求めるには、この違いを知ることが重要です。

出典:UMAI Gourmet(2021年)「常用於出汁的昆布種類」https://vocus.cc/article/5fffb075fd89780001ce18d4
昆布の種類別:旨味成分含有量の違いと特徴
日本には多くの種類の昆布が存在しますが、それぞれに旨味成分物質の含有量や特徴が異なります。
| 昆布の種類 | 旨味成分物質含有量(mg/100g) | 特徴 |
|---|---|---|
| 羅臼昆布 | 3700 | 旨味成分が最も豊富。だし汁は黄色を帯びて濃厚。味噌汁や煮物に。 |
| 長昆布 | 2800 | 製造量が最も多い。だしには不向きだが、昆布巻きや佃煮などの加工品に。 |
| 真昆布 | 2700 | 肉厚で幅広く、最高級とされる。一番だしによく使われ、佃煮にも。 |
出典:日本食品成分表(八訂)増補2023年 [2]
旨味成分が最も豊富なのは「羅臼昆布」
羅臼昆布は旨味成分物質の合計含有量が3700mg/100gと最も多く、濃厚な旨味が特徴です。だし汁はやや濁りますが、香りが良く、味の濃い料理に最適です。
旨味成分が集中する「根昆布」の科学的理由
昆布の旨味成分は均一ではなく、海中から栄養分を吸収し成長点である根(根昆布)へと集められます。そのため、昆布の中央部や根に近い部分に、アミノ態窒素(旨味含有量の指標)が多く含まれます。特に「根昆布」は成長点であり、最も栄養分が凝縮されているため、旨味成分も豊富です。濃厚な旨味を効率よく摂取できるため、根昆布は特におすすめです。

出典:コトバンク(2023年)「グルタミン酸(グルタミンサン)とは? 意味や使い方」https://kotobank.jp/word/%E3%81%90%E3%82%8B%E3%81%9F%E3%81%BF%E3%82%93%E9%85%B8-3150814


昆布の旨味成分がもたらす健康効果と効率的な摂取法
昆布の旨味成分は、料理を美味しくするだけでなく、健康維持にも役立つことが科学的に示されています。
旨味の相乗効果を活用した「減塩料理」への応用
高血圧予防の観点から「減塩」は重要ですが、塩分を控えると味が物足りなくなりがちです。昆布だしなどの旨味を料理に活用することで、塩分の一部を旨味に置き換え、美味しさを損なうことなく塩分量を減らすことができます。さらに、昆布のグルタミン酸と他の食材の旨味成分(鰹節のイノシン酸など)を組み合わせると、「旨味の相乗効果」が発生し、より強く旨味を感じるため、減塩食でも満足度の高い料理が可能です。
昆布のグルタミン酸摂取による「大腸がん予防」への期待
昆布のグルタミン酸は、大腸がんの予防にも関連する可能性が指摘されています。ある研究では、食事からグルタミン酸を多く摂取している人ほど、大腸がんになる危険性が低下するという結果が示されました [1]。特にBMI25以下の人では、グルタミン酸摂取量が1%増加するごとに、発症リスクが最大42%低下したという報告もあります。これは、腸内に存在する旨味受容体が、グルタミン酸によって栄養素の吸収や腸の消化を調節しているためと考えられています。
旨味成分を効率よく引き出す「煮出し法」と「水出し法」の使い分け
グルタミン酸とアスパラギン酸は水に溶ける性質を持つため、昆布でだしを取って摂取することが最も有効です。昆布だしの取り方には、「煮出し法」と「水出し法」の2種類があります。
・ 煮出し法: 乾燥昆布を水に浸した後、沸騰直前まで加熱し、昆布を取り除く方法。短時間で抽出できますが、雑味や香りが飛ぶ可能性があります。
・ 水出し法: 乾燥昆布を水に8時間以上(一晩)漬け込み、昆布を取り除く方法。時間はかかりますが、上品な甘さと香りのだしを得られます。
抽出される旨味成分の量に大きな差はありませんが、料理に応じた使い分けが推奨されます。例えば、味の濃い煮物には①煮出し法、素材の味を活かすお吸い物などには②水出し法がおすすめです。
参考文献
時事メディカル(2016)「グルタミン酸が大腸がん予防か」https://medical.jiji.com/topics/16
文部科学省(2023)「日本食品標準成分表(八訂)増補2023年」https://fooddb.mext.go.jp/details/details.pl?ITEM_NO=9_09020_7&MODE=1
グリコ(2018)「私たちの生活を支えているアミノ酸を知ろう」https://www.glico.com/jp/powerpro/amino-acid/entry13/




