海苔入札の現場に密着|海苔の仕入れのお話

毎年11月下旬、宮城県をかわきりに国内各地で板海苔(以降・海苔)の初入札が開催されます。海苔が生産される各県漁業協同組合の入札会場には、海苔流通に携わる業者たちが仕入のために集まります。この入札は「共販(共同販売)」と呼ばれ、海苔生産者から私たちの食卓へと海苔が届く流通の出発点になります。横田屋本店もその現場に足を運び、自らの五感と経験で最良の海苔の見極めて仕入れをしていきます。本記事では、海苔入札の仕組みとプロの選定眼(目利き)について詳しくご紹介します。

海苔入札とは|「共販」という流通の仕組み

海苔の入札は、九州から東北宮城県まで各県の漁業協同組合が県内で生産された海苔を集荷し、漁協のベテラン検査員が等級付けをしていきます。1つの等級で数百枚から100万枚の単位の量にまとまります。入札は集められた様々な等級ごとに価格を入れていき、最も高い値段をつけた買い手が落札する方式で行われます。この仕組みは「共同販売」、略して「共販」と呼ばれ、生産者の利益を守り、海苔養殖業を継続して育てていく重要な制度です。

●集荷場所;宮城県は生産された海苔は
塩釜市にある宮城県漁協乾のり集荷所に集められ入札が行われます。

海苔の等級は500種以上|海苔の格付けの複雑さ

海苔が入札会場に並ぶ前に、各漁業組合のベテラン検査員が「等級検査」を行います。摘まれた回数・色・艶・味・草質・穴・縮み・重さなどを基準に品質ごとにランク分けが行われます。これを等級検査といいます。

●見付(みつけ)会場の様子;それぞれの浜ごとに等級分けされたサンプルが並びます。1箱ずつ中身の海苔の見付をして品定めとしながら価格を手板という出品明細に書き込んでいきます。

●海苔箱について;宮城県の寒流海苔を入れる箱です。箱には各県名が記載されています。箱の大きさもほぼ同じで 1箱に3600枚入ります。箱には入札日、汐回数、組合名、生産者名、等級、検査日、検査員名が記載されています。

格付けする等級の種類は驚くほど多く、等級を決めるための海苔の基準は全国各地の生産地によって異なります。各県でもそれぞれの呼び方も違います。漁連によっては500を超える等級付けもあります。 そのため、同じ「三等」であっても、産地や年度が違えば品質に差が生じることは珍しくありません。

●入札会場;全国の買い人が見付を済ませた後に この入札会場でセリが行われます。中央の壇上で漁協が等級を一つずつ読み上げ自社のコードを登録したタブレットで応札する電子入札です。入札終了後すぐに落札数量と金額がわかります。

よい海苔を見極める3つのポイント|横田屋本店が現場で

海苔の色|「良い黒」と「悪い黒」を見分ける

海苔選びで最初に目を向けるのが「色」です。等級のグレードが高いとされているものは、海苔の色が黒色に近いほど良く、表面に光沢があって、穴や縮みなどの欠陥がないものとされています。

●見付するサンプル;見付会場では乾燥済の板海苔の状態で並べられます。写真のように一次乾燥した状態での見付になります。乾燥していますが業者間では生の状態と呼んでいます。商品として皆様にお届けするにはここからいくつかの工程を経ることになります。

しかし横田屋本店が語るのは、「黒にも良い黒と悪い黒がある」という奥深い事実です。一見すると同じ黒色に見えても、くすんだ黒と艶のある黒では品質が異なります。入札後半になると品質の高い海苔はすでに生産がほとんど終わり、残るのは茶色がかったものが増えてきます。その中から「いい黒」を見極めていくには長年の経験を生かした目利きがいる当社の強みになります。

海苔の厚みと薄さ|ペラペラは選ばない

次に確認するのが海苔の厚みです。薄くてペラペラな海苔は食感が乏しく、焼いたときに風味が十分に引き出されません。横田屋本店では、実際に海苔を手で触れ、光にかざすなどして厚みを確かめます。色が薄く厚みも不十分な海苔は、贈答品には向かず、業務用途に回される程度の品質と判断されます。

焼き上がりの色|加工後を見据えた判断

生の海苔の色だけでなく、焼き上がった後の色も重要な判断材料です。焼海苔として仕上げたときにどんな色になるかを、経験から見通す力が求められます。横田屋本店では、業務用海苔のサンプルを実際に開いて色を確認しながら、仕入れの判断を行っています。

等級だけでは語れない|プロが重視する「相対評価」の視点

等級は全国統一基準というものがなく、産地や入札の行われる時期、出品量などによっても異なります。同じ等級がついた海苔でも、年度や産地が違えば色目や品質が同じとは限りません。

また、格付けにおいては色の黒さ・穴の有無・形の整いといった見た目を基準に等級分けが行われるため、味や香りは等級の値段に反映されていません(一部の漁協では分けている所もあります)。

つまり、等級が高いからといって必ずしも「最も美味しい」とはいえないのです。横田屋本店が入札の現場に出向くのは、こうした等級の限界を熟知したうえで、その年の海苔の出来を自分の目で確かめ、本当に納得できる一枚を選び抜くためです。数値やランクに頼らず、五感と経験を総動員するのが横田屋本店の目利きの本質です。

入札の現場は細やかな日本特有の「目利きの文化」

入札会場では、色・厚み・艶・焼き上がりといった複数の基準を瞬時に判断しながら、最良の海苔を見極める作業が続きます。等級の複雑さを理解し、相対評価の限界を知り、その年ごとの海苔の特性をつかむ。こうした判断の積み重ねが、横田屋本店の商品の品質を支えています。

毎日の食卓に並ぶ一枚の海苔にも、こうした深いこだわりと物語があることを、ぜひ知っておいてください。

横田屋本店のこだわりが詰まった海苔商品をご紹介

入札の現場で厳しい目を通じて仕入れた海苔は、横田屋本店の工場で丁寧に加工され、さまざまな商品としてお届けしています。焼き海苔や味付け海苔など、用途やシーンに合わせて選べるラインナップをご用意しています。三陸の海から食卓まで、妥協のない海苔をぜひ一度味わってみてください。

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