迷いがちな熨斗(のし)の表書きと種類を徹底解説!贈る目的別の正しい選び方

贈り物をするときに欠かせない「熨斗(のし)紙」ですが、その種類や表書きには、贈る目的や時期によって厳格なマナーが存在します。水引の結び方や表書きの選び方を間違えると、相手に失礼にあたるため、最低限のギフトマナーを身につけておくことが重要です。

本記事では、熨斗の由来から、お祝い事や弔事における正しいのし紙の種類、そして目的別の表書きと贈る時期について、基本を分かりやすく解説します。

熨斗(のし)の基本知識:由来と水引の役割

熨斗紙は、単なる飾りではなく、古くからの慣習に基づいた意味を持っています。熨斗紙の構成要素である「熨斗」と「水引」の由来と役割を理解することが、正しいマナーの第一歩です。

熨斗(のし)の由来:熨斗鮑(のしあわび)とは

熨斗紙の右上にある小さな飾りを「熨斗」と呼びます。この熨斗の由来は、古来より縁起物とされてきた熨斗鮑(のしあわび)にあります。

熨斗鮑とは、薄く伸ばして干したアワビのことで、長寿や繁栄を象徴する縁起物として、かつては贈り物に添えられていました。現在では、この熨斗鮑を簡略化したものが、紙に印刷されたり、折り紙で表現されたりして、熨斗紙の右上に付けられています。

出典:伊勢神宮献上の文化と歴史を伝承する熨斗あわびの里 国崎町内会(2019年)「伊勢神宮献上の文化と歴史を伝承する熨斗あわびの里 国崎町内会」http://www.kuzaki.net/noshiawabi.html

ただし、生臭物を贈る際には、熨斗鮑の代用である熨斗は付けません。これは、品物自体に生臭物が含まれているため、重ねて縁起物として添える必要がないという考え方に基づいています。

水引の役割と「のし紙」の構成

熨斗紙の中央にかけられている飾り紐を「水引」と呼びます。水引は、贈答品を包む和紙を留める役割と、贈る側の気持ちを表現する役割を持っています。

水引の色は、慶事には紅白や金銀、弔事には黒白や黄白が用いられます。また、水引の本数は、一般的に5本または7本が使われますが、婚礼など特に丁重を要する場合には10本が用いられることもあります。

熨斗紙は、この「熨斗」と「水引」が印刷された紙の総称であり、水引の結び方によって、その用途が厳密に使い分けられています。

出典:PARIS d’AUTOMNE(2025年)「熨斗紙のマナー – 蝶結び・結び切り」

https://paris-dautomne.com/manner/wrapping-manner

贈る目的で使い分ける!のし紙の「種類と意味」

水引の結び方には、「蝶結び」と「結び切り」の2種類があり、それぞれが持つ意味によって、使用するお祝い事が異なります。

何度でも結び直せる「祝いのし(蝶結び)」

祝いのしは、水引が蝶結びになっているのし紙を指します。蝶結びは、結び目が何度でも簡単に結び直せることから、「何度繰り返してもよいお祝い事」や「お礼」などに用いられます。

具体的な用途としては、御歳暮、御中元、御年賀、御年始、内祝(出産内祝など)、御祝、御礼、謝礼、粗品、お土産、御新築祝、御開業祝、御開店祝、長寿のお祝い(還暦、米寿など)などが挙げられます。

一度きりのお祝いに使う「結び切り熨斗」

結び切り熨斗は、水引が結び切りになっているのし紙を指します。結び切りは、一度結ぶと簡単にはほどけないことから、「一度きりであってほしいお祝い事」や「二度と繰り返したくない事柄」に用いられます。

主な用途は、御結婚御祝、内祝(結婚祝いのお返し)、快気内祝、御見舞です。結婚は「一度きり」が望ましいお祝い事、病気や怪我の「御見舞」や「快気内祝」は「病気が二度と繰り返さないように」という願いを込めて結び切りが使われます。

弔事に用いる「仏のし(黒白結び切り)」

弔事、すなわちお悔やみ事に関する贈答品には、仏のしを用います。水引は、結び切りで、一般的には黒白を使用します。

用途としては、告別式前後の御霊前や御供、法要の御供物や法事のお返し、引き出物などが該当します。表書きは「志」「粗品」「粗供養」「御供」「御仏前」「御霊前」などです。

出典:山内鮮魚店(2025)「熨斗の種類と使い方ガイド」

簡略化された「短冊熨斗」の利用

近年では、通常の熨斗紙を簡略化した短冊熨斗(たんざくのし)も一般的になっています。これはシール状のものもあり、贈る物のサイズや種類によっては、通常の熨斗紙ではなく短冊熨斗を使用することが増えています。短冊熨斗も、通常の祝いのし(蝶結び)と同様に、お祝い事やお礼などに用いることができます。

目的別!正しい「表書き」と「贈る時期」一覧

熨斗紙の上部に書く「表書き」は、贈り物の目的を示すものであり、贈る時期とセットで正しいマナーが求められます。

季節の挨拶(お中元・お歳暮・御年賀・お年始)

表書き贈る時期種類
御中元7月初めより中頃まで(土用の入り前まで)祝いのし(蝶結び)
御歳暮11月後半〜12月25日までが礼儀祝いのし(蝶結び)
御年賀(御年始)正月三が日祝いのし(蝶結び)

お歳暮は、12月25日までに贈るのが望ましいとされます。時期を逸した場合は、暑中見舞いや残暑見舞いとして贈ります。

お祝い事(内祝・新築祝・出産御祝)

表書き贈る時期種類
内祝お祝いのお返し時祝いのし(蝶結び)
御新築祝新築後なるべく早く祝いのし(蝶結び)
出産御祝誕生後なるべく早く祝いのし(蝶結び)

「内祝」は、本来はお祝い事があった家が喜びを分かち合うために贈るものでしたが、現在では「お祝いへのお返し」として使われることが一般的です。

お見舞いとお返し(快気内祝・御見舞)

表書き贈る時期種類
快気内祝・内祝病気全快の時結び切りのし
御見舞病人のお見舞い時結び切りのし
御礼お見舞いの御礼結び切りのし

病気や怪我は「二度と繰り返さない」という意味を込めて、結び切りの水引を使用します。

ビジネス・結婚・長寿のお祝い

表書き贈る時期種類
御開業祝開業当日までに祝いのし(蝶結び)
御開店祝開店当日までに祝いのし(蝶結び)
御結婚御祝挙式当日まで結び切りのし
内祝(結婚)結婚式後なるべく早くお返し結び切りのし
祝還暦61歳祝いのし(蝶結び)
金婚式御祝結婚後50年目祝いのし(蝶結び)

長寿のお祝いは「何度あっても良い」お祝い事として蝶結びを使用します。

贈り主名(名入れ)の正しい書き方

熨斗紙の下部、水引の下に書く贈り主の名前(名入れ)にも、ルールがあります。

一般的なお祝いと連名の基本

一般的なお祝いの場合、贈り主名は「苗字のみ」を記入するのが基本です。

連名で贈る場合は、右から地位や年齢順に記入します。地位や年齢が関係ない場合は、右から五十音順で記入します。

出産内祝いとビジネスでの記入方法

① 出産の内祝い 出産の内祝いでは、「子供の名前」と「読み仮名」を贈り主名に記入します。これは、新しい家族の誕生を報告し、お披露目する意味合いがあるためです。

② ビジネス(社名を入れる場合) ビジネスシーンで社名を入れる場合は、会社名を右側に小さく記入し、その左に役職と名前を記入します。この際、株式会社は(株)などと省略せずに記入するのが正式なマナーです。

参考文献

・ 文化庁(2012年)「日本の結婚式」 https://www.bunka.go.jp/seisaku/kokugo_nihongo/kyoiku/seikatsusha/h24_nihongo_program_a/pdf/a_26_1.pdf

・ 文化庁(2013年)「日本のお葬式」https://www.bunka.go.jp/seisaku/kokugo_nihongo/kyoiku/seikatsusha/h24_nihongo_program_a/pdf/a_26_2.pdf

・ 伊勢神宮献上の文化と歴史を伝承する熨斗あわびの里 国崎町内会(2019年)「伊勢神宮献上の文化と歴史を伝承する熨斗あわびの里 国崎町内会」http://www.kuzaki.net/noshiawabi.html

関連記事Related Articles