
鰹節とは?その種類と栄養、正しい使い方まで専門家が徹底解説
和食の味の根幹をなす「鰹節」。しかし、その実態は意外と知られていないのではないでしょうか。「だしを取るためのもの」という認識はあっても、種類や栄養、正しい使い方について自信を持って説明できる人は少ないかもしれません。本記事では、鰹節の定義から歴史、製造方法、栄養価、そして家庭での活用法まで、科学的根拠に基づき解説します。
目次
日本の食文化を支える「鰹節」の基礎知識
日本の食文化において、鰹節は単なる食材を超えた存在です。その深い旨味と香りは、多くの日本料理の基盤を形成しています。
鰹節の定義と「削り節」との違い
鰹節とは、カツオの身を煮てから燻製にし、水分含有量が26%以下になるまで乾燥させた水産加工品です 。この状態の、まだ削られていない固まりを「節(ふし)」と呼びます。一般的にスーパーマーケットなどで目にする薄く削られたものは「削り節」または「花かつお」と呼ばれ、厳密には「鰹節」そのものとは区別されます。
文献にみる鰹節の歴史
鰹節の歴史は古く、その原型は701年の「大宝律令」に「堅魚(かたうお)」として記述が見られます 。これは、カツオを天日干しなどで乾燥させた保存食であったと考えられています。鎌倉時代には武士の陣中食として重宝され、「勝男武士」という当て字がされるなど、縁起物としても扱われました。現在のような燻製法は、1674年頃に紀州で考案され、全国に広まっていったとされています 。

出典:農林水産省「にっぽん伝統食図鑑」
奥深い鰹節の世界:種類と特徴
一口に鰹節といっても、その製造工程や使用する部位によって、いくつかの種類に分けられます。それぞれに特徴があり、用途に応じて使い分けることで、料理の味を格段に引き上げることができます。
製造工程の違い:「荒節」と「本枯節」
鰹節は、製造工程によって大きく「荒節(あらぶし)」と「本枯節(ほんかれぶし)」の2種類に大別されます。荒節はカツオを煮てから燻製(焙乾)にしただけの、最も一般的な鰹節です。市場に流通している削り節の多くはこの荒節から作られています。燻製の香りが強く、力強い風味とコクが特徴で、そばつゆや煮物などに適しています。
一方、本枯節は荒節の表面を削り、優良なカビ菌を付けて熟成させる「カビ付け」という工程を何度も繰り返したものです。この工程には4ヶ月から6ヶ月もの期間を要し、非常に手間暇がかかるため、最高級品とされています 。カビ付けによって、節内部の水分がさらに抜けて旨味成分が凝縮され、上品な香りと澄んだ味わいが生まれます。
使用部位の違い:「雄節」と「雌節」
鰹節は、カツオの体のどの部分を使用するかによっても区別されます。背中側の身から作られる「雄節(おぶし)」は、脂肪分が少なく、すっきりとして上品な味わいのだしが取れます。腹側の身から作られる「雌節(めぶし)」は、脂肪分が多く、コクがあり濃厚な味わいが特徴です。
栄養の宝庫としての鰹節
鰹節は、その豊かな風味だけでなく、非常に優れた栄養価を持つ食品でもあります。
高タンパク・低脂質な理想的食材
鰹節は、可食部100gあたり77.1gという非常に高い割合でタンパク質を含んでいます 。これは、製造工程で水分が極限まで取り除かれ、栄養素が凝縮されるためです。一方で、脂質は2.9gと低く、エネルギーも332kcalに抑えられています 。良質なタンパク質を効率的に摂取したいアスリートや、健康的な体づくりを目指す人にとって、理想的な食材と言えます。
生命を支える必須アミノ酸
タンパク質を構成するアミノ酸のうち、体内で合成できず食事から摂取する必要がある9種類を「必須アミノ酸」と呼びます。鰹節は、この9種類すべての必須アミノ酸をバランス良く含んでいます。必須アミノ酸は、筋肉や内臓、血液などの組織を作るだけでなく、体の機能を正常に保つために不可欠です。
家庭で活かす鰹節の知恵
鰹節の魅力を最大限に引き出すためには、正しいだしの取り方と保存方法を知っておくことが重要です。
一番だしの取り方(花かつお)
最も香りが高い「一番だし」の取り方をご紹介します。水1000ccに対し、花かつお40gを用意します。鍋に水を入れて火にかけ、完全に沸騰させたら一度火を止め、花かつおを全て入れます。鍋をかき混ぜたりせず、そのまま10分間静かに置きます。その後、キッチンペーパーなどを敷いたザルで濾します。削り節を絞るとえぐみが出るため、自然にだしが落ちるのを待つのがポイントです。
品質を保つための保存方法
削り節は、湿気と酸化が大敵です。開封後は、袋の口をしっかりと閉じ、空気を抜いてから冷蔵庫で保存しましょう。密閉容器に移し替えるのも効果的です。未開封の鰹節であれば、冷暗所で約2年間保存が可能ですが、開封後は、ラップで包み、冷蔵庫で保管してください。正しい保存を心がけることで、新鮮な風味を楽しめます。
参考文献
・小林食品株式会社. (2022). 日本の伝統食「鰹節」とは?種類、栄養、削り方、だし取りの総まとめ. 和食の旨み. https://www.kobayashi-foods.co.jp/washoku-no-umami/bonito
・農林水産省. (n.d.). 鹿児島県かつお節(かつおぶし). にっぽん伝統食図鑑. https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/traditional-foods/menu/katuobusi.html
・文部科学省. (2023). 日本食品標準成分表(八訂)増補2023年. 食品成分データベース. https://fooddb.mext.go.jp/details/details.pl?ITEM_NO=10_10091_7




